1960年代に始まった日本経済の高度成長により、貨物輸送需要が急速に拡大しトラックが増加するとともに、国民の所得水準上昇に伴う自家用乗用車の増加により、道路の混雑が激しくなりましたが、自動車専用道路の整備は始まったばかりでした。
このような状況から、輸送量の増大、積載効率の向上に対応する大型カーフェリーが神戸港に続々と就航することとなったため、神戸市はカーフェリー専用の公共埠頭として東神戸フェリーターミナルを整備しました。1969年8月、フェリー埠頭の公共性を維持しながら各フェリー会社の船舶運航(埠頭使用・離着岸・乗船券発売等)を担う組織として、神戸フェリーセンターが設立されました。
神戸港では、最盛期で一日に42便のカーフェリーの入出港がありましたが、阪神淡路大震災や明石海峡大橋の開通などによりフェリー会社が次々と撤退し、神戸フェリーセンターも大幅な事業の縮小と再出発を余儀なくされました。
現在、神戸港の内航フェリー航路は5社5航路、一日に8便が運航しており、その輸送量はコロナ前の令和元年で旅客が年間83万人、貨物は神戸港の内貿在来貨物の約3/4にあたる2,800万トンとなっております。神戸フェリーセンターは神戸三宮フェリーターミナル内に本社を移転(東神戸フェリーターミナルは1999年3月に閉鎖)し、神戸港の内航フェリー3航路の発券等の窓口業務、車両の乗船下船に係る誘導等の陸上作業を、船社様より受託し携わっています。
フェリー輸送には、長距離移動に伴う運転者の負担軽減や交通渋滞の心配が不要といったメリットがあるほか、災害時には陸路に代わる輸送手段の役割を担うことができること、CO₂排出量が少ない環境性能を有すること、トラック輸送における労働時間規制等を背景に問題となっているトラック運転手の人手不足に対する代替輸送手段となることから、その重要性が再認識されています。
神戸フェリーセンターは、フェリー会社と協力しながら神戸市民の生活、市内企業の経済活動を支えるとともに、神戸港の発展に貢献し続ける企業として歩んでまいります。